トップ 変化球の仕組みを考えよう

■ 変化球の仕組みを考えよう

変化球は何故曲がるのか?
変化球を投げるのには、まず変化球の仕組みを理解することが重要です。
少し難しい話もありますが、変化球の仕組みを理解することで、何故曲がらないのか、自分に何が足りないのか、が分かるようになります。
更には自分に合った握りやリリースを見つけ出すことが出来るかもしれません。

▽ 回転させる変化球と回転させない変化球 ▽

変化球は基本的に"回転させて変化させる"変化球と"回転を減らして変化させる"変化球の2種類に分けることが出来ます。
簡単に分類してみると、

"回転させて変化させる"変化球
カーブ系・スライダー系・シュート系・シンカー系

"回転を減らして変化させる"変化球
フォーク系・チェンジアップ系・ナックル系

という風になります。
"回転させて変化させる"変化球は回転の向きと回転速度が重要になり、"回転を減らして変化させる"変化球は回転速度と空気抵抗が重要になります。

▽ マグヌス効果と空気抵抗と重力 ▽

マグヌス効果とは、一様流中に置かれた回転する円柱又は球が一様流に対して垂直方向の力が働く現象のことで、"回転させて変化させる"変化球はこのマグヌス効果によって変化しています。
また、"回転させて変化させる"変化球に限らず、回転しているボールには効果の大きさに違いはあれどマグヌス効果が発生しています。

例えば、バックスピンのストレートであれば図1のようにマグヌス効果によって上方向の力が発生しています。
それによって、下方向への重力をある程度相殺して落下を軽減させています。
逆にトップスピンの縦カーブであれば、図2のようにマグヌス効果によって下方向への力が発生し、重力も合わせて下方向へ強い力が働くことになります。

空気抵抗とは、その名の通り空気による抵抗です。
通常、ボールを投げた場合は空気抵抗によって減速していきます。
球速が速いほど空気抵抗は大きくなり、比例して減速度合も大きくなります。

この空気抵抗を減らすのが回転です。
ボールは回転することで空気を掻き分けることが出来るようになり、空気による抵抗を受け流すことが出来ます。
(ちなみに、この受け流した力がマグヌス効果による力になります)
また、縫い目は空気を掻く力を大きくすることから、縫い目の向きは重要になります。

そして、誰もが一番身近に感じているのに忘れがちな要素の重力。
下方向への変化の殆どが重力によるものです。
フォーク然り、チェンジアップ然り、縦スライダー然り……。
トップスピンの縦カーブは、重力とマグヌス効果による下方向の力を合わせた、もっとも下方向に変化する変化球です。

よく勘違いしがちというか忘れがちですが、フォークや縦スライダー(トップスピンを含む場合は除く)はその回転自体には下方向への変化の成分は含んでいません。
あくまで、下方向への変化は重力によるものです。

▽ "回転させて変化させる"変化球の仕組み ▽

"回転させて変化させる"変化球のポイントは、
・回転の向き
・回転速度
の2つです。

回転の向きは変化する方向に影響します。
捕手側から見た場合に、ボールが回転している方向にボール自体も変化していきます。
(ボールの回転方向以外にも、常に重力による下方向への力が加わっていることを忘れずに)

回転速度は変化量に影響します。
回転速度が大きいと変化の角度が大きくなります。
逆に回転速度が小さいと変化の角度が小さくなります。

また、変化量のポイントとして球速が挙げられます。
球速(前方向への力)がある球を変化させる場合、変化させる為に必要な回転速度は大きくなります。
球速があるということは、捕手に届くまでの時間が短いということ。
回転速度が遅いと、変化させようとする力が前方向への力に影響を与える前に捕手に届いてしまうからです。
同じ回転速度の場合、100km/hの時に曲がり始めていた時間では、150km/hだと既にキャッチャーミットの中、ということも。
変化しない、あるいは変化が小さいという場合は回転速度が足りないというのはもちろん分かりますが、変化するのが早過ぎて打者に見切られるというのが、球速と回転速度のバランスが悪いことが原因の場合もある、ということを覚えておきましょう。

▽ "回転を減らして変化させる"変化球の仕組み ▽

"回転を減らして変化させる"変化球のポイントは、
・回転速度
の1点に尽きます。

変化に関しては重力による下方向への変化が中心。
回転が少ないと少しの力でも影響を受け易く、場合によっては縫い目の位置や風などの外的要因だけでも横方向への変化をします。

いかにキャッチャーミットに収まるまでの回転数を減らすか、がポイントです。
回転速度が遅ければ遅いほど受ける空気抵抗は大きくなり、結果大きく減速。
減速すれば捕手に届くまでの時間も長くなり、重力による下方向への力を受け続けたボールはどんどん落ちていく、というわけです。
逆に空気抵抗が小さいと減速度合いも小さく、落下の角度は緩やかなものになります。

また、"回転させて変化させる"変化球と同じく、球速が変化量あるいは変化しだす位置のポイントになります。
球速があればあるほど空気抵抗は大きくなり、比例して急激な減速が起こります。
急激な減速が起これば、下方向への変化も急な角度になります。

▽ 変化球の工夫の仕方は様々 ▽

変化球の大まかな仕組みを解説しましたが、これらの変化球の仕組みの工夫の仕方は本当に様々です。
カットボールの様にあえて前方向の力を強くして変化を小さくしたり、ツーシームの様にほんの少しの空気抵抗の違いで変化させる変化球もあります。

これらの仕組みを理解し、自分なりの工夫をして、自分なりの変化球を見つけ出しましょう。
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